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オリガ・モリソヴナの反語法

米原万理著(集英社文庫)

少女時代にチェコスロバキアで過ごした弘世志摩は、
今はロシア語の翻訳をして食べているが、
ソビエト大使館付属8年制普通学校の名物先生、
オリガとエレオノーラの謎を解くためロシアを訪れる。
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考えてみると、スターリン時代のロシアの悲劇について
書かれたものを読むのは初めてです。
ミステリー仕立てにしているものの、ドキュメンタリー風
でもあるこの小説は大変興味深く読むことが出来ました。
さらに面白かったのは、タイトルとなっているオリガが
ダンスの教師で、志摩は若い頃ダンサーを目指していた
という設定であること。
著者の米原万理さんも民族舞踊研究会をつくって活動
していたらしいです。

このオリガ先生、指導方法に大変特徴があり、
「そこの麗しき堕天使、まだ地球の重力にお慣れでないね」
と品良くバカ丁寧な言い方の後に
「頭の中、糞でも詰まってんのか!お前の足が重いってんだよ」
などと罵詈雑言が続いたりします。
容貌や服装なども印象的な先生です。

いきなり話がとぶけれど、私が今のスタジオに通い始めて
何が一番驚いたかというと、女の先生が些細なことで
怒鳴ったり声を荒げること。
普通に言えば分かるのに……と思うようなことで怒鳴る。
スポーツクラブでは日常のことがお気に召さず、怒鳴る。
なんで怒鳴られたのか分からない、なんてことも。
「(曲)速い……」って呟いて「今、文句言ったの誰?」と
怒鳴られたのは本当に衝撃だった。文句になるんだ?
んで私は、
「怒鳴る」という行為は人間関係を悪くしても、
良くすることは決してないと思うわけで……。
私たちの日常では、どんなにイライラしても我慢したり
気持ちを抑えて「怒鳴る」ことは滅多にないと思うんだけど、
スタジオでは感情にまかせて「怒鳴る」ことが当たり前
みたいになっていることに驚きショックを受けた訳です。
エアロビクスを10年以上続けてきて、先生が怒鳴ることって
なかったし、スポーツクラブでジャズダンスを教えてた先生も
そんなことは一度もなかったし、今バレエを習っている先生も
いつも穏やかで可愛らしいし……。

しかしながら、
この小説を読んで、そんなことぐらいで驚いてビビっていては
ダメなんだな、と思ったりして……。
志摩が踊りを捨てた理由を語る場面があって、語った後
「くだらないでしょ。」
「オリガ・モリソヴナの苦労に比べたら恥ずかしくなるよ」
とつぶやくのだけど、スターリン時代の粛清を読んでしまうと
誰でも皆そう感じない訳にはいかないんじゃないかなあ。


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